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~Deep Dive into HRシリーズ 第3弾ウェビナーレポート~人事だけで採用はできない!入社後のオンボーディング・活躍を見据えて部門を巻き込んだ採用のポイント!

LiBでは、「人事だけで採用はできない!入社後のオンボーディング・活躍を見据えて部門を巻き込んだ採用のポイント!」と題し、株式会社マネーフォワードのPeople Forward本部 中途採用部 部長 川口さんをお招きし、中途採用に課題を抱える企業の人事担当者様を対象にしたウェビナーを2月8日(水)に開催しました。 本ウェビナーでは、各部署を巻き込んだ採用活動やオンボーディングの設計や実際の運用について、株式会社LiBの江成が話を聞きました。

川口 恵司氏(株式会社マネーフォワード People Forward本部 中途採用部 部長)
PROFILE
川口 恵司氏(株式会社マネーフォワード People Forward本部 中途採用部 部長)
2014年、株式会社LITALICOに新卒入社し、障がいのある方の就労支援を2年間経験後、中途採用担当として採用業務全般に携わる。2019年に株式会社Loco Partnersに入社し、MVV策定や人事制度の企画運営などといった人事業務を中心に、採用(新卒・中途)/総務/労務/PRなどバックオフィス業務全般とマネジメントを担当。2021年に株式会社マネーフォワードへ入社。中途採用担当としてビジネス・コーポレート職の採用に携わる。2022年2月に同部署のリーダー、同4月からは部長に就任。
江成 充 (株式会社LiB RPDサービス責任者)
PROFILE
江成 充 (株式会社LiB RPDサービス責任者)
2006年インテリジェンス(現パーソルキャリア)に新卒入社。人材紹介の法人営業・キャリアアドバイザーに従事。求人広告「doda」の営業マネジメントに従事する傍ら、新サービス(管理職1on1研修・採用面接官トレーニング)も企画。2017年より採用責任者・人事向けに1か月に9本のセミナーの企画・登壇。2018年LiBに入社。2021年夏に女性に特化した社外取締役の就任支援サービスを立ち上げる傍ら、複数社の採用力向上支援に携わったことをきっかけにRPDサービスを立ち上げる。

マネーフォワードの組織と採用の現状

自己紹介

川口:マネーフォワードの川口です。まずは自己紹介いたします。

上記の通り、採用、人事、バックオフィス全般などを経験して、2021年9月にマネーフォワードに入社しました。2022年4月からは部長として、中途採用部を管轄しています。3年前からラーメン二郎にハマってしまい、「ラーメン」「スニーカー」「家族」が今の人生の三本柱になっています(笑)。

会社紹介

次に、会社について簡単にご紹介します。マネーフォワードは現在のCEOの辻が創業した会社で、11年目になります。経営においてもっとも大事にしているのがMission、Vision、Value、Culture(MVVC)です。

「お金を前へ、人生をもっと前へ。」というMissionと、「全ての人のお金のプラットフォームになる」というVisionを掲げており、ユーザーの期待を超えるサービスを創り続けることで、お金の課題を解決し、サービスを通して社会を少しでも前へ進めていく、Forwardしていくことを目指しています。

そのMission/Visionに加えて、User Focus、Technology Driven、Fairnessという3つで構成されたValueと、Speed、Pride、Teamwork、Respect、Funという5つで構成されたCultureがあり、その頭文字をとって「MVVC」と呼んでおり、経営において最も重要な指針としています。

続いて、サービスについてご紹介します。私たちが提供するサービスは現在、法人向け・個人向け・金融機関向けの3つのセグメントに分かれています。

グループ全体では合計で50以上のプロダクトを提供しており、もちろん今後も国内外で新たなプロダクトを増やし続ける予定です。

メンバー数については、現在約1900名が在籍しています。2年前と比較すると1000人以上増員しており、特に昨年ごろから組織のグローバル化を積極的に進めています。現在は組織全体では14%、エンジニア組織においては38%がNon-Japaneseメンバーです。

特に2022年度は過去最高の採用人数を実現しました。そこからさまざまな課題が浮き彫りになり、オンボーディングを含め、土台を整える必要性を感じたのです。

 

募集部門を巻き込む必要性とポイント

採用体制

人事本部の機能は、

タレントグロース:人事企画/開発/労務/カルチャー
採用関連部門:中途/新卒/グローバル/採用オペレーション/採用広報

といった形で分かれています。その中で、私は中途採用部にいます。

私自身が入社して一番最初に驚いた部分でもあったのですが、当社の採用活動は現場の協力体制がしっかりしています。採用の業務がリクルーターだけに寄っているのではなく、募集部門の皆さんがスカウトをしたり、エージェントさんとの打ち合わせに積極的に参加してくれたりしています。週次の定例ミーティングで「こういうことをやりたい」と逆に提案をいただくこともあります。

そういった、「全社を巻き込んだ採用体制」は、創業時から築き上げてきた当社の強みだと思っています。今後どうそれを活かし、どう展開させていくのかが直近の私のテーマですね。

 

採用課題

江成:入社したときには既にその体制ができあがっていたんですね。とはいえ、特に直近2年で採用人数1000名以上という規模の採用活動の中で、課題もあったのではないでしょうか。まず何から着手したのか教えていただけますか。

川口:まず、当社の採用体制についてお伝えしますと、担当リクルーターが担当領域をまるっと見ていく、という体制になっています。リクルーターとしての縦割りができているイメージです。

当社はサービスの提供先ごとに社内カンパニー制をとっています。編成が分かれているそれぞれのカンパニーが、小さいところでも100名以上の規模に成長してきて、これまで全社統一で行ってきた採用活動にアップデートが必要になってきたんです。カンパニーごとの採用課題や特徴が見えてきて、より具体的な解決策を探していかなければならない、というのが自分の大きな課題でした。

江成:なるほど。川口さんはまず、「マネーフォワード ME」を中心にサービスを提供するホームカンパニーを担当されたんですよね。

川口:そうですね。主にtoCのプロダクトを手がけるカンパニーです。ちょうど入社した時期に、マネジメントメンバーを巻き込んで、組織課題について掘り下げるワークをやりました。そこでいろいろと提案をしながら、当初リクルーターとして求められていた枠組みを超え、さまざまな取り組みを行いました。

江成:ぜひ、具体的に教えてください。

川口:カンパニー内にいる経営メンバーと一緒に、そもそも自社の認知から退職に至るまでの間に、今どのような課題があるのか?を洗い出すワークをしました。

その中でもリクルーターの私がフォーカスしたのは、「採用」のフェーズに出てきた課題をどう解決するのかという点です。その中で出てきたのが、「選考中の離脱」「内定辞退」でした。

原因として考えられるものはいろいろありましたが、直結するものは「面接のクオリティ」でした。面接官を担当する社員によって、クオリティにかなりバラつきがあったのです。

人事担当は面接に出ないことが多く、基本的には現場の皆さんに任せているのですが、そのアサインや育成の体制は整えられておらず、皆さんが自力で面接ノウハウをインプットして臨んでいた…というのが現状でした。また、一次・二次・最終というフェーズごとの面接官の役割や確認事項も定義されていなかったので、まずはそこを解決しにいきました。

ですから、まず取り組むべきだと思ったのは以下の3つです。

1.面接官の育成をしていくための基盤づくり
2.選考基準の明確化(何をどのタイミングで確認するのか)
3.候補者体験の向上

その中でも特に最優先すべきは「2.選考基準の明確化」だと判断し、まずそこから着手していきました。

江成:どうやって優先順位をつけたのでしょうか?

川口:「1.面接官の育成」に関しては、新任面接官が発生したりはしますが、数としてはそんなに多くはありませんでした。面接に参加しているのは主に部長陣だったので、ある程度面接を長く経験している方々でした。人によって多少のズレがあったら、それを個別に改善しにいくという程度で、組織全体で解決しにいくほどのボリュームではありませんでした。

一方、「2.選考基準の明確化」と「3.候補者体験の向上」は深くリンクしているものなので、セットで考え、一緒に取り組んでいくことにしました。

 

選考基準の明確化

まず、そもそも選考基準をどの程度まで固めていくか、という議論をしました。「絶対にこの質問をする」とかっちり決めきるのか、そうではなくてある程度余白を残すのか、という方針決めです。そのコンセンサスを経営陣としっかりとっておかないと、全然違う方向性に行ってしまいそうだなと思ったのです。

構造化面接/半構造化面接(予め決められている質問と、会話の流れで生じる自由な質問を組み合わせて行う面接)/非構造化面接というものがある中で、それぞれのメリット・デメリットを提示し、ホームカンパニーではどれをやっていきたいですか?という方向性を確認しました。その結果、かっちり決めきるのではなく、ある程度の共通項目を設けながら、それを確認するための質問内容や、いつどのタイミングで聞くのか、といった部分には柔軟性を持たせていきたいというコンセンサスを取れました。

次に、どのような要件をどのように見ていくのがベストなのかを、皆でワークをしながら整理しにいきました。経営陣と人事だけでまとめても、実際に面接を行うメンバーが納得できていないとしっかり運用につながらないと考え、関係者が集まって決めるというプロセスを重要視しました。会社としても、採用はチーム全員で行うという意識が強いためです。

まずはホームカンパニーの管理職以上の約15名全員に集まってもらって、選考の中で絶対に確認したい要素を抽出し、それを組み替えて、いくつかの「人物要件」をつくりました。「ホームカンパニーはどんな特徴があるのか」「どんなカルチャーなのか」「他のカンパニーとはどう違うのか」「ここで働くとどんな経験ができるのか」「活躍している人の特徴は何なのか」といった内容を、個人ワークと、職種や担当領域が近い人たちでつくったグループでのワークと合わせて2時間ぐらいかけて考えていきました。

その後、ワークで挙がってきた内容と経営陣の想いや考えをすり合わせて、最終的な採用基準を作成しました。それを参加してくれた管理職メンバーに説明会でシェアし、ホームカンパニーの採用選考基準として運用し始めました。

ここで初めて、大切にするべき軸とその定義、スキル以外で欠かさずに確認するポイントが統一されたわけです。ちょうど今から1年前ぐらいの出来事ですね。

 

半構造化面接

江成:現場と経営陣ですり合わせを行ったというお話がありましたが、けっこう違いはありましたか?

川口:そこまで大きなズレはありませんでしたね。言葉の表現などが違うだけで、深掘りしていくと根本的なところは同じでしたね。

ただ、追加されたものはありました。「いかに定量的な部分にコミットできるか」という点です。経営陣の中では、今後の事業成長に向けて、MVVCと同じくらい数字へのコミットも大事にしたいという強い思いがあったからです。その内容は説明会でシェアしたときも違和感なく受け入れられ、新しい項目として追加されましたね。

江成:少し余白を設けた「半構造化面接」という方針にした、というお話もありましたが、具体的にはどのような運用なのでしょうか?

川口:一般的に「構造化面接」となると、例えば一次面接ではこの項目を聞く、聞くときはこの内容を必ず説明する、といったようにすべての流れが決められたものになります。

当社の「半構造化面接」の場合は、確認したい項目を、それをどんな質問で、どのようなタイミングで聞くのか、はある程度自由にしているというスタイルです。

そこは、部署ごとに考えてもらったり、面接官の特性に合わせてアレンジしてもらったりと、柔軟性を残しています。質問例も準備はしていますが、それを使っても使わなくてもよい、というスタンスです。

江成:なるほど。この新しい選考基準を用いた半構造化面接の運用がスタートしてから、見えてきた気づきはありましたか?

川口:確実に運用するために、まずはATSの評価フォームをホームカンパニー用にカスタマイズして、絶対に抜け漏れがないように仕組み化しました。

一番の効果は、最終面接の通過率、内定率が上がったことです。これまでは最終面接に上がってくる件数は多かったものの、求めている期待値とだいぶズレていた…というケースが多かったんです。また、入社後の想定グレードなども事前に確認して申し送り、目線が揃った状態で最終面接が実施されるようになったので、明確に効果が数字に表れました。面接官を行う現場―メンバーと最終面接を担当するカンパニーCOOが同じ目線で組織作りに着手できるようになった、というのも副次的な効果ですね。

逆に、まだ道半ばだなと思っている点は、採用した方々がまだ入社1年未満なので、本当にうまくいったのかどうかの判断がしづらいということですね。あと1年ぐらい経った頃に、入社後のパフォーマンスや評価、グレードなどの情報が出揃うので、それらと照らし合わせて初めて施策の効果を分析できると思います。

さらに今後やりたいこととしては、ホームカンパニーだけに閉じず、会社単位で同じ取り組みを行いたいとも考えています。当社はMVVCという共通点はありますが、金融出身のメンバーが多くいるチームやIT出身のメンバーが多くいるチームなど、組織ごとにやや魅力が異なります。またMVVCは共通していますが、メンバーのキャリア背景は全然違ったりします。ですから、今後は全社を視野に入れて、選考基準を可能な範囲で整えていきたいですね。

 

Q&A

Q1 現場の巻き込み方

江成:ここからはQ&Aタイムに入りたいと思います。参加者の方から事前にいただいた中で多かったのは、「どうずれば現場をうまく巻き込めるのか?」というご質問でした。「そうは言っても採用は人事の仕事でしょ」という企業文化のところも多々ありますし。

川口やはり最も重要なのは経営陣のコミットですね。私自身、前職までも採用人事をやってきていますが、マネーフォワードはその中でも経営陣の採用に対する情熱がすごいと思います。採用部だけが採用活動をするのではなく、自分たちが仲間集めをするのだ!ということを、この規模になっても言い続けているんですよ。

さらに、各カンパニーのメンバーもそれが当たり前のこととして考えてくれています。「自分たちが動かないと採用できない」という気持ちを常に持ってもらえているというか。だから、そういうカルチャーをいかに醸成するかがカギとなると思います。

この間、すごく面白いと思った出来事があって。ついに私たちリクルーターではなくて、部門のハイアリングマネージャーの方が直接人材紹介会社に連絡して、「こんな人紹介してください!」とアプローチしていたんです(笑)。それほどまでに部門の皆さんがコミットしているんだな…という驚きがありました。

江成:情報の解像度が上がるので、直接やり取りできるのは人材紹介会社としてもありがたいと思いますね。

 

Q2 面接官向けのトレーニング

次の質問なのですが、面接官向けのトレーニング資料は、チラ見せいただけますか?(笑)

川口:こちらですね。

アジェンダとしては、「マネーフォワードにとっての採用とは」「面接官の役割」「TIPS集」みたいな感じです。これを読めばだいたいの流れと役割がわかるようになっています。

よくあるのが、面接官が「前職の常識」をそのまま再現してしまうことで、当社では望ましくない体験をさせてしまう、というようなこと。同一の基準があれば防げるので、今後ブラッシュアップしていきたいと思っています。

江成:NG質問集も大事ですよね。不適切な質問がなされてしまうこと自体良くないですし、仮にSNSにUPされるとレピュテーションリスクが甚大ですから。

面接官によって申し送りのバラつきがある、みたいなところはどのように改善していますか?先ほどフォームをカスタマイズしたというお話もありましたが。

川口:そうですね。基本、フォームを整えてバラつきを防いでいます。リクルーターによってやり方は異なるのですが、私自身は、一次選考を通過した方については自分自身で面接官にヒアリングして申し送りを作成してしまいます。次の面接でどこを確認してほしいかをまとめて、次の面接官にSlackで長文を送ります(笑)。

江成:具体的にはどんな申し送りをするんですか?

川口面接の評価、具体的なGood/Moreを整理した上で、次の面接では見極めとアトラクトをどのようにやってほしいかを伝えます。見極めの場合はどこを重点的に見極めるのか、アトラクトの場合はどんなことをどう伝えるのか、を丁寧に申し送りします。

逆に「それ以外のところだけで判断しないでね」というメッセージも裏目的ではあります。面接ってけっこう、たとえ意識していても、自分の感覚で判断しちゃいませんか。感覚的に「この人いいじゃん」ってなっちゃうんですよ。ですからそのようなブレが極力おきないように基準を明確化している感じですね。

 

Q3 部門との定例ミーティングの進め方

江成:最後の質問です。部門のメンバーとの定例ミーティングをやっているとおうかがいしていますが、具体的なアジェンダはどんな内容ですか?

川口:これも統一されているわけではなくて、現状はリクルーターの判断で、頻度も内容も好きなようにやっているのですが、私がやっているのは基本的には目標数値に対して今どういう状況かの振り返りとネクストアクションの検討、もう一点は候補者ごとの状況確認ですね。

一点目は、部門のメンバーと経路ごとの母集団の人数などの目標を立てていて、スカウト経由やエージェント経由など、それぞれの役割ごとの数値確認がメインです。

二点目の候補者状況については、申し送りの情報の補足などの共有ですね。

江成:なるほど。採用は「行動、候補者、求人、チャンネル」の4つのマネジメントが必要だと言われていますが、まさに「行動」「候補者」のところに注力しているのですね。

川口様、本日はありがとうございました。最後にLiBから1点、宣伝をさせてください。先ほど「ハイアリングマネージャーの方が直接人材紹介会社に連絡して…」といったお話が出ましたが、当社が提供している「LIBZ 幹部ドラフト」は、まさにそれに近い思想でサービス設計をしております。

募集部門が協力的で、一緒に採用活動を行える場合はぜひご検討いただきたいと思います。

次回のウェビナーは、「社内に浸透し、社外に染み出すカルチャーづくりの本質に迫る。手段としてのカルチャー・コミュニケーションからの脱却!」と題し、株式会社マネーフォワード VPoC 金井 恵子さん、株式会社10X 取締役CCO 中澤 理香さんから、事業と結びついたカルチャーづくり、社内への浸透、社外への染み出すカルチャーづくりについて、ここまでお話を聞けるのか?というところまでお話しいただく場になります。ご期待ください!

▼お申し込みはこちらから
https://peatix.com/event/3494261/view

 

▼株式会社マネーフォワード(採用情報)
https://recruit.moneyforward.com/

 

>>エージェントマネジメントを支援する「LiBのRPDサービス」について、より詳しく知りたい方はこちらからお問い合わせください
lib.rpd@libinc.co.jp (「LiBのRPDサービス」事務局)

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