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【イベントレポート】妊活や出産、育児を見据えた働き方を考える「Women’s Career Cafe」を開催しました

2019年12月3日(火)、Retty株式会社と共催で、女性が自分らしい働き方を考えるイベント「Women’s Career Cafe」を開催いたしました。

第2回目となる今回のテーマは、「妊活や出産、育児を見据えたキャリアデザインの在り方」。SNSで話題となった「やさしく正しい妊活大辞典」の著者、産婦人科専門医・月花瑤子先生、ヘルスケア領域に関わる入澤 諒氏、企業で活躍する既婚・独身女性陣が登壇し、妊活に関する基礎知識のレクチャーや、女性ならではのキャリアの歩み方についてのトークセッションを実施しました。来場者の参加理由は、「出産を考えている」「社内にロールモデルがおらず、具体的な話を聞ける機会がない」等、様々。働く女性の多くが一度は考えるテーマであるだけに、トークセッションやQ&Aコーナーは大いに盛り上がりました。

登壇者の皆さん(左から、武井氏・鈴木氏・入澤氏・月花氏・後藤氏・浜内氏)

以下、当日のイベントの様子です。

■ 妊活に関する基礎知識レクチャー

まずは、男性用スマホ妊活ツール「Seem」のプロデューサー・入澤氏と、産婦人科医・月花先生による「妊活に関する基礎知識」のレクチャー。

不妊症とは、「避妊をせずに定期的な性生活がありながらも、1年以内に妊娠が実現しない状態」のことを指します。今や、5.5組に1組の夫婦が不妊検査や治療を受けたことがあるというほど、身近な問題となっています。
不妊の原因の約半数は男性にあるにも関わらず、治療の主体は女性。ほとんどの男性は「自分は大丈夫だろう」という意識のもと行動を起こしていない、と入澤氏は指摘。治療にはいくつかの段階がある中、男性の参加が遅れることで、貴重な時間とお金が無駄になってしまうケースも。年齢とともに不妊の頻度が上昇する一方、治療の成功率は減少するというデータもあり、家族の計画を早い段階で「ふたりで」話し合うことが最も大切だといいます。

■トークセッション

~テーマ①妊活計画とキャリア~
● キャリアプランの立て方

レクチャー内容を踏まえて、実際に女性がどのようにキャリアプランを設計するべきか、登壇者にてトークセッションが行われました。

実際に、仕事と不妊治療の両立に悩んだ経験のあるC Channel株式会社の浜内さんは、妊活を意識して転職に踏み切ったといいます。もともと子宮内膜症を患っていたこともあり、1年で自然妊娠しなかったタイミングで不妊検査をスタート。連日続く通院や投薬で、仕事との両立が困難な状況に陥りました。そこで、通院もしやすいフレックス勤務が可能な環境を選び、転職。現在は仕事のペースに合わせ、無理なく治療を続けています。

「今では男性上司にも、治療や生理についての相談をし、通院と両立ができる環境です。上司にも具体的に相談することが大事です」と浜内さん。個人差がある内容なだけに、何も問題もなく妊娠できた経験を持つ女性上司の場合は、逆に理解を得にくいというケースもあるようです。

また不妊治療をしていない方向けには、AMH(アンチミューラリアンホルモン)を測る検査を受けることがおすすめのようです。AMH検査は、卵巣の中に卵子がどれくらい残っているのかを調べるための検査(血液検査)です。自身の卵子の数を調べることで、妊活や今後の人生設計に役立てるというトークも行われました。

● 生理についての悩み
次の話題は、全ての働く女性がその煩わしさと向き合っている、毎月の生理について。

ここでは月経前症候群(PMS)の症状の紹介や、どのように乗り越えているか、また男性側はどのように向き合えばよいのかを話しました。
月花先生によると、産婦人科医のほとんどはピルを服用して生理をコントロールしているそう。情緒不安定になるなど、仕事への悪影響がある方は、ピルで症状が軽減する場合があるため、産婦人科に行くことをオススメしています。ホルモンバランスの変化による不快な症状に邪魔されないので、生理による仕事への悪影響も防げるようです。

また入澤氏は、男性側の意見として、「前提として、症状にレベルがあることを知らなかったので、心から同じレベルで共感することは難しいが、辛い状態ならば話してほしい」といいます。状況を理解しているだけで、急な情緒不安定などにも配慮はできるので、相談は大切です。
最近では、百貨店のスタッフが着用する「生理バッジ」の取組みが注目されるなど、生理に関する話題が以前よりもオープンになっています。賛否両論はありますが、デリケートな期間をよりよく過ごせるよう、前向きな議論を重ねられる良い傾向なのではないか、と後藤さんは述べています。

<参加者からの質問>
Q:キャリアアップをしたいが、いつ妊娠出来るかわからず、転職してすぐに産休を取得することが申し訳ないと思って葛藤しています。

武井さん「女性の転職支援をする中で、そういった相談は非常に多い。しかし、すぐに出産を控えている等具体的な予定がある場合でなければ、まずは自分のキャリアのために動くべき。どうなるかわからない段階で気にしすぎなくてよい。」

浜内さん「選考の面接時に『子どもを産む予定はある?』といった質問をされる企業もあるが現実。そんな質問があるということは、そういう価値観の会社であると判断。気にせず、キャリアを大切にすべき。」

鈴木さん「前職は、産休育休からの復帰率が低かった。それに比べて現職は裁量労働制・リモート勤務制度など、裁量ある働き方への理解がある。今後のライフイベントとキャリアを踏まえ、そういった環境を選び取ることも大事。」

Q:お金の事、出産した場合の生活や仕事などが不安です。妊活・不妊治療をしながらマイホームのローンを払っている人はいるのでしょうか。
 
浜内さん「実際にその状況だが、今は問題なく回っている。しかし、収入や不妊治療内容(費用)にもよるので、一概には言えない。」

入澤さん「不妊治療に数千万円かかった人もいる。想定外の出費を意識しておくのも大事かも。ファイナンシャルプランナーも妊活を絡めたライフプラン設計を提案し始めている。」

Q:妊活中のパートナーとの悩み、向き合い方について教えてください。
入澤さん「男性は当事者では無いし解決策もわからないので、つい励ましてしまいがち。できるだけ共感し、寄り添い、うまくいかなかったときは一緒に落ち込むという姿勢が大事。定期的にお互いの気持ちを振り返る時間も必要。」

鈴木さん「落ち込んでいる時に、どんな事を言えば良いのかわからない、とパートナーに言われたことがある。それから、「本当に大変だよね」など行ってほしい言葉を具体的にパートナーに伝えた。その通りに実行してくれたおかげで、無駄な衝突が減り、育児中もストレスなく過ごせている。」

浜内さん「相手に期待をしすぎないことが大事。自分の気持ちにも無理をしない。実際に1年間妊活を休んだこともある。」

武井さん「制度面では、1割の企業が不妊治療のサポートについての制度を用意している。オムロン社はパイオニア、メルカリ社は上限200万円までの支援もあり。上司の相談をスキップして申請できる等、制度利用促進のための工夫もある。」

~テーマ②妊娠中・復職後の働き方~
● 妊娠中の働き方

妊娠中の働く女性は、体調のトラブルがつきもの。産休に入るまでどのように過ごすべきなのか、体験談も含めて語ってもらいました。

月花先生によると、妊娠初期は流産のリスクもあるので、身近な人以外には妊娠の報告をしないケースがほとんどだといいます。しかし、悪阻の症状が一番ひどいのもこの頃で、仕事を休まざるを得ない人も。母子の健康のためには、無理をせずに上司にだけは報告しておくとよい、と助言しました。

Retty株式会社の鈴木さんは、切迫流産や切迫早産、逆子による妊娠後期の悪阻等さまざまなトラブルに悩まされたそうです。入院のため1ヶ月間仕事を休んだこともあり、いざというときのために入院準備や、仕事の引継ぎ準備をしておくことも大事だといいます。

株式会社LiBの武井さんからは、生理休暇などの制度はあるが、センシティブであるため活用されていないケースも多いという話がありました。生理休暇同様に、悪阻休暇もあればいいのに、と、会場一同から共感の声があがりました。

● 復職後の働き方
はじめて産休育休を経て職場復帰するときは、不安を抱える女性がほとんどです。どのような心構えで復職し、どのように育児と両立しながら働いているのか、ワーキングマザーである鈴木さんが体験談を語ってくれました。

エンジニアである鈴木さんは、復職にあたり、スキルのアップデートや社内の情報のキャッチアップに不安があったといいます。そこで定期的に会社のメンバーとコンタクトを取り、復職時の自身のポジションや仕事内容を把握して、事前に勉強をしたりする事で復職する為の心の準備をしました。

復職後は、いきなり第一線を目指さずに、この時期までには第一線に立つ為に準備として自分の余裕を作る。といったプランを考えていました。生活面でも頑張りすぎず、家事などは自分の許容範囲を考えることを意識したそうです。

働き方は、週3出社・週2リモート勤務。対面でコミュニケーションする日と、集中して作業する日を分けることで、業務効率を上げる工夫をしています。

女性の働き方に詳しい武井さんによると、働き方の自由度は職種よっても異なるといいます。エンジニアや、インセンティブ報酬型のセールスは自由度が高い一方で、経理や労務などのバックオフィス職は月次処理などの関係でオフィス出社に縛られることも多いようです。

また、最新のサービスに敏感なスタートアップ企業の場合は、シッター補助などを制度として取り入れているケースも多いとのこと。「必要な制度は創っていく」というスタンスの経営者がいる会社は、今後女性にとって働きやすい環境になりそうです。

■ 質疑応答
Q:どのように産婦人科を選べばいいでしょうか?
月花先生「まず自分の状態を知るための検査であれば、近くの婦人科に行ってみては。検査は何度も通う必要も出てくるので、家や職場の近くの通いやすいところがよい。」

Q:産んでも、いきなり育てる自信がない。育児はどうやって学んだ?
鈴木さん「実際にやっていくうちに学ぶ事が多いですが、育児漫画に救われたり、社内の子育てコミュニティで相談しながら探り探りやっている。経験者の話はとても勉強になった。」

Q:(女性社員が9割、という会社の人事をしている方から)育休中社員とどのようなコミュニケーションを取れば、復職へのハードルが下がる?

鈴木さん「自分のポジションとやる事をを事前にしれたことは大きかった。ブランク中も、自分の居場所・価値を実感したい。人事からの必要書類の受け渡しの際に、暖かい手紙が入っていたのは自分の存在を認識してもらえている実感がわき、嬉しかった。また、復職後も気兼ねなく飲みに誘ってもらえるのも嬉しい。」

月花先生(現在育休中)「自分から連絡するのはつい遠慮してしまうので、会社から連絡が来ると嬉しい。忘年会に呼んでもらえたのも嬉しかった」

■ まとめ
最後に、後藤さんより、まとめの挨拶がありました。
さまざまなフェーズにおいて「自分の選択肢に納得していること」が何よりも大事、だと語る後藤さん。妊活・出産・育児を見据えたキャリアデザインに関しては、複数の選択肢とそれぞれのフローがあることを知り、それらを自分で選べるようになることが重要だと感じたそうです。

まだまだ女性管理職が少ない日本では、妊活・出産・育児の当事者がいないことで、組織課題のテーブルにすらあがらない状況も多いはずです。だからこそ、当事者からのボトムアップをこれからも続けていきたい、と語りました。

今後もLiBでは、女性の働き方やキャリアについてのイベントを定期的に開催していきます。

【開催概要】
日時:2019年12月3日(火)19:30~21:30
場所:Retty株式会社(東京都港区三田1-4−1 住友不動産麻布十番ビル 3F)
主催:LiBzCAREER
共催:Retty株式会社

【登壇者】(※五十音順)
入澤 諒氏
株式会社リクルートライフスタイル /「Seem」プロデューサー
大学卒業後、モバイルIT企業に入社。

女性向けの健康管理サービスの企画・プロモーションのディレクションや遺伝子検査サービスの立ち上げを担当。2014年11月にリクルートライフスタイルに入社し、新規事業開発部門に配属。新規事業として『Seem(シーム)』を立ち上げ、現在はSeem事業全体の戦略策定からUXの検討、プロダクト開発までを担当する。2016年度グッドデザイン賞 特別賞[未来づくり]受賞。ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2017 優秀賞受賞。カンヌライオンズ2017 モバイル部門 グランプリ受賞。

月花 瑶子氏
産婦人科専門医
日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。臨床医として働きながら、ヘルスケア企業にて医療監修のチーフアドバイザーを務めている。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)

後藤 紗也佳氏
Retty株式会社/プロダクトマネージャー
2012年美容系CGMサービス運営企業に入社、クリエイティブディレクターとしてプレミアム会員や大規模リニューアルを担当。2015年に実名口コミの飲食店検索サービスRettyへ参画、現在はRettyアプリ・Globalチームのマネージャーを担当。プロダクト運営以外にも、オフ会企画・現麻布十番オフィスのデザインなど幅広い業務を担う。プライベートではLINE連動型生理用品のECサイトを運営するilluminateへ参画中。Twitter:https://twitter.com/sayaka_goto

鈴木 佑理氏
Retty株式会社/サーバーサイドエンジニア
2012年、新卒でSI系の会社にエンジニアとして就職、受託開発で複数のプロジェクトに従事。2015年3月にRetty株式会社にAndroidエンジニアとして入社し、現在はサーバーサイドエンジニアとして社内用のWebサービスをリリースしている。 2018年に男児を出産し、1年間育休後、2019年に復帰。仕事と子育ての両立をしようと日々奮闘中。

武井 梨名氏
株式会社LiB/新規事業担当
大学卒業後、2011年に新卒でゲーム会社に入社し、複数のタイトルプロモーターを務める。その後コンサルティング会社へ入社し、コンサルタントとして製造業を中心とし、基幹業務のグローバル展開プロジェクトに従事。LiB創業間もなく開かれたオフィス開設祝いにて、初めて代表と出会い、その後1週間たたぬうちにジョイン。PR、営業マネージャーを経て、現在は新規事業開発を担当。

浜内 久乃氏
C Channel株式会社/広報
大学卒業後、ユナイテッドに入社し広告代理事業の営業を担当。2012年にZOZOに入社し、デジタルマーケティングや新ECサイトの立ち上げ業務に従事。その後、マイナビやDeNAにてデジタルマーケティングのみに留まらず、TVCMを担当するなどマスマーケティングまで幅広く経験。現在はC Channelにて広報PR業務を担当。女子大生マーケティング集団「yellow project」の発起人としてプロジェクトマネジメントも行なっている。

 

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