新しい仕事のカタチで事業と組織をアップデートする

  • イベント
  • 女性活躍

LiBzPARTNERS-STORY │「社外取締役人材が語るキャリアストーリーと経験知の社会還元」(後編)

ハイキャリア女性の転職支援とダイバーシティ&インクルージョンを推進する転職エージェント「リブズパートナーズ」(現:LIBZ 幹部ドラフト)は、転職のリアルがわかる&キャリアの選択肢が広がるプライベートイベントを定期開催しています。

2021年4月開催のイベントのテーマは「社外取締役人材が語るキャリアストーリーと経験知の社会還元」。ここでは、お2人とのトークを、前編、中編、後編、と3回にわたってお伝えいたします。

 

目次

1.コンサルタントや顧問と、社外取締役との違いは

2. 社外取締役の関わりの頻度や深さとは

3.複数の社外取締役の間での役割分担

4.女性だからという理由での社外取締役の打診について

5.社外取締役を打診される人材とは

6.これまでのキャリアを振り返って、20代での足腰の鍛え方

7.もう一度キャリアのスタートに戻ったら、同じような選択をするか

 

 

コンサルタントや顧問と、社外取締役との違いは

別宮:
事前に用意した質問はこれまでなので、ここからは、会場からの質問にお答えしていきたいと思います。

このご質問をされた方は、これまでコンサルタントとしてある企業に関わってきて、現在は顧問で、今後社外取締役になることを依頼されているそうなのですが、コンサルタントや顧問と、社外取締役とで意識やスタンスが変わることがあればご教示くださいということなのですが。

渡瀬:
私は、自分のことをコンサルタントではなく事業家だと思っているのですがお答えすると、コンサルタントは10億円の投資判断を自分ではしないですよね。でも、社外取締役はそういう判断もするし、会社の未来を左右する判断をします。判断を間違えば株主代表訴訟みたいなことも起こります。コンサルタントは「総合的にはこうですので、あとは貴社でご判断ください」という発言をするかもしれませんが、取締役は総合的な分析が求められるのではなく「右か左か」の判断をする必要がある、ここが最も違う点だと思います。

高岡:
特に上場企業の社外取締役だと、機関投資家から直接説明求められたりすることもあるので、その覚悟でやる、と思っています。一方で、コンサルタントや業務委託は、会社から指示を受けてやっています。渡瀬さんがおっしゃったように、どんなスタンスでやっているかは非常に変わってくるかなと思います。

 

社外取締役の関わりの頻度や深さとは

別宮:
なるほど。では、次の質問で。社外取締役として、1社とのかかわりの頻度や内容、質や量はどのようなものでしょうか。

渡瀬:
取締役会議が最も長く、監査役会や社外役員の情報交換連絡会、人事評価委員もしている、そういう会社だと、月に1〜2日使うケースがあります。短いところでも月に半日×2回ですかね。。取締役会以外に、10~20億という投資案件が上程される場合は、事前に説明や質問会があります。そこはとても重要な場です。中長期の事業計画の議論も時間をかけますね。こういった議論は1回に数時間ずつかけています。ちゃんとしているところは時間がしっかりかかります。今コロナでいけないんですが、圧倒的に現地で顔を合わせ、ひざを突き合わせ、ディスカッションするほうがいいと、私は心から思っています。

別宮:
どうしてですか。

渡瀬:
この20億の投資、本当にこの事業計画が達成できるんだな、ということを確認するためにも、こちらも迫力を出し、向こうも迫力を出してもらう。そんなやりとりを丁々発止で行います。

別宮:
覚悟を問うということですね。

渡瀬:
取締役会上程前の社内の議論が不十分だなと感じるときなどは、覚悟を問うために、わざと一度NOをいうこともあります。なにくそ、といってもう一度出してくるか、覚悟を問うこともあります。私を敵だと思って、社内が一致団結して知恵を絞ってくれたらいいなと思っています。笑

高岡:
取締役会のあり方が、各々違うなと感じています。各社、毎月ですが、最低で半日から1日のところもあれば1時間半で終わるところも、プラス決算発表の直前に1回、といった関わりになっています。それ以外にも、戦略セッションとか、諮問委員会とか、そういうのもあったりします。イレギュラーが出ると、それより増えると思いますし、私も未経験ですが、大きなクライシスが起きてくるとさらにかかわりは深いと思います。

 

複数の社外取締役の間での役割分担

渡瀬:
社外取締役が複数いる場合、役割分担があるのでしょうか、という質問が来てますね。果たす役割は全員一緒ですが、得意分野の分担はあって、財務に強い方、ビジネスに強い方、法務に強い方、という感じで、多方面で会社を支えているという感じはすごくあります。

高岡:
最近スキルマトリクスを出している企業もありますね。

渡瀬:
勉強になるな、という取締役会はありますね。私の全く経験していない観点からの指摘あったりしますので。

高岡:
私も、社外取締役をお引き受けした理由の一つはそういうところがありますね。自分になかった視点での話をお聞きすることがとても勉強になります。

 

女性だからという理由での社外取締役の打診について

別宮:
次の質問です。現在、既に1社で社外取締役をしている方のようですね。渡瀬さんがおっしゃったように、女性だからということでお声がかかることがあり、お断りした経緯もあるのですが、逆に、そういうお声がけが多いので、何か働きかけをしないといけないのではという想いに至っています、とのこと。正しい社外取締役の役割を世に伝えるために、どんな働きかけをしていくのがいいか、アドバイスをいただきたい、とのことなのですが。

渡瀬:
女性だから、という依頼は、女性の人数が欲しいだけであって、発言や経営の知識が欲しいわけではないと思うんですよ。数合わせの依頼は、お断りしてよかったと思いますよ。社外取締役は、それなりに時間の拘束もあるし、年間のスケジュールがびしっと埋まってしまうんですね。女性として座っているだけでいいです、なんていうものに、人生の貴重な時間を使うことはないと思います。まさに、貴方の力を貸してください、という企業と出会って、そこで活躍し、ロールモデルとして見せることが、良い方法だと思います。

高岡:
私も同感ですね。そういった、「女性」をフォーカスしたものや登壇をあまり参加しないようにしているんですね、メッセージがぶれやすいので。今回も実は警戒していたのですが、渡瀬さんが私以上にその思いが強かったので、安心して参加させていただいているんですけれど、笑。私も、正しい発信は心掛けるべきだと思いますし、女性に関係なく貢献していくことで、社外取締役はこうあるべきだというのを作っていくしかないのかなと思っています。

別宮:
逆に、こういう「女性だから」の依頼を引き受けていくほど、違う方向に行きますね。断って大正解だったという話ですね。

 

社外取締役を打診される人材とは

別宮:
お二方とも、社外取締役になりたい希望があったというより、ご縁あってお声がけいただいて、ということだったのですが、それまでのキャリアの中でどんなことを意識していたことが、結果的に、声をかけられることにつながったとお思いでしょうか。

高岡:
私は正直、このタイミングでお声がけがかかるとは思っていなかったので、1社目は、想定外でした。自分の考えををいろいろお話しさせていただいていたことなどを、見ていただいて共感いただいたりフィット感を感じていただいたり、分からないですけど、そんな流れかな。2社目以降は、意識していたわけではありませんが、一般的によく言われていることは、他社1社やっていると、社外取締役人材になる、というか、この人はこういうことができるんだ、と思ってもらうようになる、とは聞いています。

渡瀬:
私の場合は、ボランティアも含め、人様のためになればと思ってやっていたことが、人のつながりを生んで、渡瀬がいいんじゃないか、とおっしゃってくださる方がいて、つないでいただいていることなのではと思います。ひとつひとつ、目の前の仕事の成果を出していくことを真面目にちゃんとやっていく、人とのご縁を大事にしていると、そういうことがあるのかなと思います。でも、先ほど申し上げた通り、決して、なりたくてなるものではないと思っています。

別宮:
なりたくてなってしまうと、保身に走ってしまう、その役割をずっと継続したいがゆえに、社外取としてちゃんとした機能を果たせない、ゆがんでいってしまうかもしれませんね。では、社外取締役を辞めるタイミングはどうでしょう。

高岡:
通常は任期で退任するものですが、理論的には取締役はいつでも実はやめられます。渡瀬さんがおっしゃる通り、意見があまりにも合わなかったりするときは、やむをえず、みたいなケースとかってあったりするんじゃないんですかね。

渡瀬:
私も、昨年いくつか辞めさせていただきましたが、もう自分がいなくても大丈夫だなという感じの会社は丁寧にお話しして任期満了で卒業させていただきました。会社にとっては新しい風を入れることもよいことと思います。

 

これまでのキャリアを振り返って、20代での足腰の鍛え方

渡瀬:
事前にいただいた質問で、20代後半を振り返って、足腰をどう鍛えていましたか、という質問がありましたね。今でこそブラックといわれるかもしれないですが、私は、「帰れ!」と言われても「いやだ仕事したい!」というくらい、毎晩終電まで仕事して、土日も会社行って、と、とことん仕事をしていましたね。私が一日仕事を休むと、事業が一日遅れる、と思って、ちょっとワーカホリックでした。会社に住んでいるといわれて、誕生日に、テントをプレゼントしようかといわれるくらい、笑。でも、そのおかげで、筋肉質になって、今があるなと思います。

高岡:
私は、体力のない人なんですね。なので、働くこと自体は嫌いではないんですけど、意味のあるものでないと、疲れちゃうみたいなところがあって。20代の当時は、下っ端として許される範囲で仕事を選んでましたね、笑。あまりにも自分じゃなくてもいいような仕事というのを、極力、仕組み化の中で排除するようにしてました。より自分のスキルになるようなことを意識して仕事をしていましたね。単に雑用みたいなのを仕事というようにはしないようにしてました。かなり生意気でしたね、笑。

渡瀬:
大物!

高岡:
いやいや、笑。体力がないので、毎朝4時まで、みたいなことは続けられないな、と思って、工夫するように意識してました。仕事の質は意識はしていましたし、管理職になった時に、自分の仕事の仕方やいつ何をやるかどんどん選べるようになったというのが、一つの大きな転機でしたね。それも、20代の時に、ただ単に仕事をしているというより、付加価値高い仕事の仕方を意識していた結果かなと思います。

 

もう一度キャリアのスタートに戻ったら、同じような選択をするか

別宮:
最後に、もう一つだけ質問です。ご自身のキャリアのスタートに戻ったら、同じような選択をしますか。

渡瀬:
私は、もう一回やるならグローバルなキャリアに行ってみたいです。世界に出てみたい。

高岡:
私は、10年、社会人になるのが遅かったら、もっとテクノロジー寄りの仕事をしていたかもしれないですね。今からでも遅くはないと思っているんですけど、笑、2010年とかに就職していたら、投資銀行ではなく、グーグルなどを目指していたかもしれないと思います。

別宮:
時代が時代だとそうですね。

あっという間に時間が経って。そろそろお時間になりました。お二方とも、それぞれの特徴が出て、本当に学び多い時間だったなと思います。改めて、渡瀬さん、高岡さん、今日は貴重なお話しをありがとうございました。本日ご参加いただいた皆さんも、ありがとうございました。

(完)

 

 

(この記事は2021.04.28に公開されたものです)

記事をシェアをしませんか?