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【イベントレポート】 「1時間でわかる、来春からの『改正女性活躍推進法』入門講座」

株式会社LiBでは、「【オンライン開催/参加無料】1時間でわかる、来春からの『改正女性活躍推進法』入門講座」と題し、人事担当者様やダイバーシティ推進担当者様を対象にしたウェビナーを、6月16日(水)と7月2日(金)に開催しました。

女性活躍推進法の改正により、2022年4月には、「一般事業主行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍に関する情報公表」の義務の対象が、常時雇用する労働者が301人以上から101人以上の事業主に拡大されます。

本ウェビナーでは、この義務化対応に焦点を当て、まだ対策ができていない企業担当者様に向けて、女性活躍推進の必要性や実務上のポイントについて、Forbes JAPAN WOMEN AWARD サーベイ設計責任者である株式会社LiBの土橋より解説しました。

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講師:土橋徳久(サーベイ設計責任者)
モデレーター:内田ことね(Forbes JAPAN WOMEN AWARD チーフディレクター)
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【登壇者】

株式会社LiB コーポレート部門部長
Forbes JAPAN WOMEN AWARD
サーベイ設計責任者
土橋 徳久氏

大学時代に、公認会計士を取得。卒業後は、大手コンサルティング会社にて、企業・市場調査、オペレーションDX、大手外資系金融機関のPMIなど、さまざまなプロジェクトを担当。その他大手監査法人で財務分析などを実施。2019年4月にリブへ参画し、「Forbes JAPAN WOMEN AWARD」のサーベイ設計や分析、コーポレート部門の責任者として、組織再編や業務改革を担っている。

株式会社LiB
Forbes JAPAN WOMEN AWARD
アワード事務局 チーフディレクター
内田 ことね氏

2018年の大学在籍時より、インターンとしてリブに参画。
新卒1期生として2019年4月に正式入社し、3年間法人営業に従事。現在は自社のプロダクトマネージャーと、「Forbes JAPAN WOMEN AWARD」の企画責任者としてプロジェクトマネジメントを務める。

 

女性活躍の必要性


土橋:女性活躍推進法についてお話しする前に、まずは大前提となる「女性活躍の必要性」を理解していただきます。なぜなら法令のためだけに対応すると、多くは失敗してしまうんですよね。

ですから、「なぜ今、女性活躍を推進する必要があるのか」を社内できちんと言語化することを推奨しています。女性活躍推進はあくまで手段であり、目的ではありません。私たちLiBは、女性活躍推進はダイバーシティ&インクルージョンの一環であると考えています。

VUCAと呼ばれる、変化の激しい時代だからこそ、ダイバーシティは必要です。様々な価値観を受容することで、変化への対応力や想像力、さらには意思決定の質も上がるからです。そして様々なダイバーシティがある中で、私どもは、まずは女性に特化すべきであると考えています。

その理由は2つあります。1つめは、マイノリティの中でもボリュームゾーンであり、わかりやすく効果が出やすいという点。そして2つめは、ベンチマークになるという点です。特に今の日本社会では、ワーキングマザーに労働環境のしわ寄せが溜まっている可能性があります。つまり逆に言うと、ワーキングマザーが活躍しやすい環境となれば、色々な人にとって活躍しやすい環境へと変化できる可能性を秘めているということです。

以上の理由から、LiBではまず「女性」にフォーカスしてダイバーシティを推進していくことを推奨しております。

内田: 女性が働きやすい環境を作ることで、企業には具体的にどういうメリットがあるのでしょうか?そこが明確にならないと、なかなか実行に移すのは難しそうですよね?

土橋:おっしゃる通りです。では、女性活躍推進によって得られるメリットについてご説明しますね。女性活躍推進が進むと、以下の5つの競争優位が築けると考えております。


特にわかりやすいのは、「顧客志向」と「イノベーション」ではないでしょうか。多くの企業に適用できると思います。

まず「顧客志向」について具体的に説明します。
女性は「労働市場」においてはマイノリティとなっている一方で、「商品・サービス市場」においてはマジョリティとなっています。消費の7割を女性が支配しているという統計データもあります。消費意欲旺盛な女性たちの手によって個人消費が拡大し、新たな市場の創出が期待される中、そのニーズを深く理解することが競争優位となることは言うまでもありません。

次に「イノベーション」についてですが、男性だけだった世界に女性が加わると、間違いなくイノベーションは起こります。

ここで1つ、自動車の「ボルボ」の事例をご紹介します。衝突実験で目にするダミー人形を、テレビなどでご覧になったことがありますよね?あれは、男性の体型をもとに作られていたそうです。しかし統計によると女性の方がケガをしやすいということがわかり、女性の体型の人形を使うようになり、より精緻な実験ができるようになったそうです。

事故に関する責任部門にもともと女性がいたら、当たり前の発想だったんじゃないの?とも思いますが、実際はそうではないんですよね。女性の存在が、影響力を与えるレベルまで持っていくことが重要なのです。(こちらは、後ほど説明いたします。)

競争優位を築くところまで到達するためには、経営者の意図を、従業員までしっかりと浸透させることが必要となります。どうしても女性活躍推進は、企業のイメージUPのためにやっていると思われがちです。女性活躍推進の目的について、経営者と女性社員にそれぞれアンケートを取ったところ、認識にギャップがあることも明らかになっています。

 

実際に多くの経営者の方とお話しすると、多くの企業で悩まれている印象があります。
また、女性活躍が競争優位にたどり着くまでには、採用→定着→ポテンシャル発揮というステップがあることも押さえておく必要があります。

内田:なるほど。いかに浸透させるかが、取り組みの結果を左右しそうですね。

 

女性活躍推進法のポイント

土橋:女性活躍推進について振り返ったところで、ここからが本日の本題に入ります。

 まず「法律が、どのような視点で女性活躍を推進しようとしているのか」を知っていただきたいと思います。

 女性活躍推進法の基本原則は、「昇進等の機会の提供」と「家庭生活との両立」の2つに分かれます。そして「両立」に関しては、「労働環境の整備」と「本人の意思の尊重」を掲げています。これは法の中に、「自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性の個性と能力が十分に発揮されることが一層重要である」という思想があるからです。

 その女性活躍推進法が改正され、2022年の4月1日から施行されます。

改正のポイントは上記の通りで、法的義務対応の対象範囲が拡大されます。常時雇用する労働者が101人以上300人以下の事業主は、これまで努力義務だった4つのステップが、改正後は義務化されます。

つまり2022年の3月までに、その4つのステップの対応のための準備が必要ということです。この分析→計画→実行→提出という4つのステップは、問題解決のフレームワークと同じなので、難しく考える必要はありません。


 ◆ステップ1:現状把握と課題分析

採用人数に占める⼥性の割合、女性管理職比率、男⼥の平均継続勤務年数の差異、労働者の各⽉ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況、という基礎項目の把握がマストとなります。

◆ステップ2:行動計画の策定

そして把握した項目から1つ以上を選択し、計画期間・取り組み内容・実施時期を記載した「一般行動計画」を策定します。

◆ステップ3:社内周知・外部への公表

現状と目標の数値を、すべての労働者に対して周知します。また外部へは、自社ホームページや厚労省のデータベース、また弊社のサイト等を通して情報発信します。

◆ステップ4:都道府県労働局への届出

各都道府県の労働局のサイトから、指定の様式にて届け出を行います。

ここまでを、新たに義務化の対象となった企業様は、2022年3月31日にまでに対応する必要があります。

内田:参加者の方から質問が来ています!外部公表するフォーマットは自由ですか?

土橋:厚労省にて、いくつかのサンプルが公開されています。要素を満たしていれば自社でカスタマイズしても問題ありませんが、他社との比較可能性を考えると、サンプルを使ったほうがわかりやすいかもしれませんね。

 

実務上のポイント

ここまで、改正女性活躍推進法対応の4つのステップをご説明しました。

せっかく対応するんだったら、より効果を大きくしたいですよね。法の趣旨は、「PDCAサイクルを回してください」ということです。しっかりチェックをし、女性活躍推進法の浸透度もモニタリングすることが重要となります。

まずは、重要指標を可視化して、自社がどのフェーズにいるかを把握することが重要です。

こちらは、あえて一般化した図です。一般的な流れは採用→定着→活躍であり、それぞれ「基礎項目」として把握した重要指標(黄色)が各フェーズに関連します。

そして、分析するには必ず比較をする必要があります。比較の対象は、競合他社の数値のほか、一般的な中長期の目標数値があるのがこの分野の特徴であり、視野に入れる必要があります。

男性の育休については80%となっていますが、これは現状の女性の基準です。個人的には、もっと上を目指しても良いと考えております。

また女性比率に関しては、10%→30%→40%という数値のステップがあります。10%だけだと、認知はされるものの、制度設計などのターゲットにはなりにくいのが現実です。30%となると、認知はもちろん、意思決定に様々な影響が与えられます。実際私も、時短勤務のワーキングマザーが多い部署に異動した際、ミーティングをコアタイム内に収めるなど、新たな工夫をしました。そして40%となれば、マジョリティに近くなり、当然のように考慮されるべき存在となります。

これらの目標数値との比較によって初めて、自社がどこに課題があるかを大まかに把握できるというわけです。

内田:ではここで、参加企業の方に、自社がどこに課題があるか聞いてみましょう!

 

~Zoomチャットでリアルタイムアンケートを実施~

 

なるほど、「活躍」が多いようですね。土橋さん、「活躍」の促進のために注意するポイントはありますか?

土橋:「活躍」のフェーズで気をつけなければいけないことをお伝えしますね。

それは、「定着」のために作った制度が「活躍」を阻害する可能性がある、ということです。


そしてこれを解決するためのキーワードが、「時間」です。

女性、特にワーキングマザーが、労働時間の制約が大きいのが今の日本の現実です。そのため時短勤務や法定以上の育休をとらざるをえなくなり、フルタイム社員との差が出てしまうという状況が生まれます。

企業側は「どれだけ企業の生産性を落とさずに、女性労働者の時間を創出できるか」が課題となります。その解決策が、フレックスタイム制度、在宅勤務・リモートワーク制度です。

これらは「定着」にも効果的でありながら、「活躍」の促進のためにはもはや必須といえるのではないでしょうか。さらに、運用状況のモニタリングも重要です。例えば、フレックスなのにミーティングが平気でコアタイム外に設定される…といった状況が蔓延していれば意味がありません。

その他に、多くの企業様で「8時間」で設定されている所定労働時間が「7時間以下」になれば、時短勤務をせざるを得ない女性がフルタイムに戻りやすくなるというデータもあります。

また、残業時間と女性管理職の数にも相関があるというデータもあり、「時間」を意識した施策はかなり有効だと考えております。

自社のフェーズを把握し、対策テーマを検討することが重要ですが、私どもは「フレックス」「リモート」「1on1(個人の意思の把握・尊重)」が三種の神器とも言えると考えています。様々な施策の例がありますので、ぜひご覧になってください。

 

第一歩目として

内田:義務化対応のポイント、実務上のPDCAについてはよく理解できました!

では最後に、すぐに着手するべき具体的なアクションを教えてください。

土橋:そうですよね。PDCAサイクルの話をしましたが、やはり「Plan」と「Check」が重要です。そのためには、他社と定量的に比較をする必要性がある、ということを意識していただければと思います。

私どもが開催するForbes JAPAN WOMEN AWARDでは、参加企業様に他社と定量的に比較したフィードバックレポートを無料で提供しております。社員のエンゲージメント、女性活躍推進の浸透状況、制度の整備状況などを可視化することができます。また今回ご説明した改正女性活躍推進法への対応に、システムを活用いただけます。

全て無料となりますので、ぜひこちらを活用して、省エネで効率よく「Plan」「Check」を実施していただければ幸いです!

 

 

(この記事は2021年6月に公開されたものです)

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