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「幸福と社会的立場は関係ない」―40歳からの異業種転身
ロックバンド「Aqua Timez」のドラマーとして紅白歌合戦にも出場した経歴を持つ田島は、2019年のバンド解散を機に、40歳にして未経験のビジネスの世界へ飛び込みました。 高校時代からプロを志し、夢を叶えた音楽の世界から、一転して会社員としてのキャリアをLiBでスタートさせたのです。
フリーター時代は将来を心配され、デビュー後は「好きなことを仕事にしていていいね」と羨望の眼差しを向けられ、そして会社員になると再び「大丈夫か?」と心配されるなど、その道のりは平坦ではありませんでした。
立場が変わるたびに周囲の評価が一変する経験を通じて、田島は「幸福と社会的立場は関係ない」という確信を得たといいます。
「どんな状況でも、自分の心次第で人生は楽しめる」
その想いを胸に、現在は「ポジティブに生きる人を増やしたい」というLiBの理念に共感し、2025年末までの期間限定で再結成したAqua Timezの活動と並行して、ビジネスパーソンとしてのキャリアを歩んでいます。
イベントではそんな田島の特徴的なバックグラウンドをベースに話が進行しました。

▲自己紹介をする様子
「異国の言葉」に直面したインサイドセールス時代
華やかな経歴の一方で、入社当初は大きな壁に直面しました。飛び交うビジネス用語がまったく理解できず、田島は当時の状況を「まるで違う言語の国に来たようだった」と振り返ります。 最初の9ヶ月間はインサイドセールスを担当しましたが、年下の先輩社員から教わる日々に、時にはプライドが刺激されることもありました。
しかし、そこで腐らずに田島は行動を起こします。彼は「わからないことをそのままにするのは嫌だ」と考え、学んだことを整理してチーム内に共有する勉強会を自ら企画したのです。
さらに、上司の後押しを受けて『 たっしー通信 』という社内向けの発信をスタートさせました。Slackで自社事業や社会課題に関する記事と自身の考えを毎日投稿するこの活動は、100号を迎えるまで一日も欠かさず続けました。
「チャレンジャーを応援する」という企業文化に加え、相手に対して誠実にフィードバックする風土があったことで、時には厳しい指摘を受けることもありましたが、それらを成長の糧に変え、ビジネスパーソンとしての適応を加速させていきました。

▲実際の『たっしー通信』
仕事をゲームのように楽しむ。「フロー状態」を作る3つの鍵
セッションの後半では、田島が自身の経験と「好きこそものの上手なれ」という座右の銘に基づき、仕事を「楽しむ」ための具体的なメソッドを紹介しました。
彼が提唱するのは、心理学者ミハイ・チクセントミハイ氏の概念である「フロー状態(ゾーンに入った没頭状態)」を仕事の中に意図的に作り出すことです。そのために重要な要素として、以下の3つのポイントを挙げました。
1. スキルと難易度のバランス(パーソナライズド・オンボーディング)
仕事がつまらないと感じる原因は、自身のスキルと課題のバランスが崩れていることにあります。スキルに対して課題が簡単すぎると「退屈」になり、難しすぎると「不安」を感じてしまうからです。
「心地よいと思える難易度」は人によって異なるため、一律の研修ではなく、個々のレベルに合わせて段階的に難易度を調整する「パーソナライズドされた課題設定」を行うことが、没頭しやすい環境(フロー状態)を生み出す鍵となります。
2. 即時のフィードバック
ゲームが人を夢中にさせるのは、「敵を倒せば経験値が増える」「ボタンを押せば反応がある」といったアクションに対する反応がすぐに返ってくるからです。 仕事においても同様です。例えば、営業プロセスをすべて数値化・オープンにし、個々の行動に対してチームから即座に反応や改善提案が得られる環境があれば、PDCAのサイクルが早まり、成長実感を得やすくなります。
3. 自身の「価値観」の理解
自分が何に感情を動かされるかを知ることも重要です。田島は「感情が動いた瞬間」を記録することを推奨しています。 彼自身、日経新聞のコラム「私の履歴書」やドキュメンタリー番組が好きだったことから、「自分は“人の人生の物語”に関心がある」と気づき、人材エージェントの仕事を「単なる転職支援」ではなく「人の物語に触れる仕事」と再定義したことで、仕事が一気に楽しくなったといいます。 これは個人の取り組みに限ったことではなく、チーム内で「今週ワクワクしたこと」を共有し合う時間を設けるなど、組織的に互いの価値観を知る機会を作ることも非常に有意義だと考えます。

▲スポーツの現場でもよく使われる「フロー状態」や「スキルと難易度のバランス」について(登壇資料より)
おわりに ── 人生100年時代を「楽しむ」ために
田島は、20代から70〜80代まで働くことになる「人生100年時代」において、人生の大部分を占める仕事の時間を「つまらない」と感じながら過ごすのは「もったいない」と語ります。
仕事とプライベートを分けることも大切ですが、「せっかくなら仕事も楽しいと思えるほうがいい」、そう語る田島は、会場の人事担当者に向けて「皆さんは、社員が仕事をどう捉え、どうすればモチベーションを高められるかを考える重要な役割を担っている」と呼びかけました。
今回のセッションが、社員が「仕事って楽しい」と感じられるような制度やオンボーディング設計につながることへの期待を寄せ、フォーラムを締めくくりました。
田島のメッセージは、若手社員だけでなく、彼らを支える人事担当者にとっても、社員のモチベーションをデザインする上での大きなヒントとなったはずです。イベントの一部のご紹介にはなりますが、本レポートの読者にもそれが伝わると幸いです。

【採用募集】
LiBでは田島のようにさまざなバックグラウンドを持つ人材を募集しています!
https://www.libinc.co.jp/recruit/
https://herp.careers/v1/libcorp
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ライティング:稲本 美優(株式会社LiB)
